koji


2022年3月12日土曜日

QYT-28修理レポート1(ファイナル交換編)

2023.2.3追記

最新バージョンQYT-28はメーカーでファイナルFETをネジ留めしています。


※当局の修理受付は終了しました。(2023.2.3更新)



CRkits Japanさんより修理品を預かりました。

送信中に電源が落ちてしまい、それ以降電源が入らなくなってしまったとのことです。

まずはケースから基板を取り出します。

(バラシ方法はページ最後を参照下さい。)



ファイナルFETが変色しています。焼損した?ようなので取り外して確認。



トランジスターチェッカーで確認してみました。

足が短いところなんとか挿入。


各端子間は抵抗器状態、ファイナルFET(FQP13N10)が飛んでいることがわかりました。

念のためドライバートランジスター2SC2314も外してチェックしました。
こちらは足が短いためリードを延長半田つけしました。

トランジスターチェッカーで確認すると2SC2314は生きています。


FETを交換、取り外した2SC2314も半田付けしました。

アルミダイキャストとシートの両方にサンドイッチするようにシリコングリスを塗布。

FET交換後、パワーが少し下がって3.5Wでしたのでメーカーに調整箇所を問い合わせしました。(下記写真を参照下さい)ボリューム、赤丸印のところを調整します。

※調整はクリティカルです、ほんのちょっとボリュームを回すだけでパワー変化しますのでご自分で調整される場合はご注意ください。


無事復活しました(約4W)

※2022.4.6追記
上記パワー調整ボリュームでMax.4Wにならない場合はパワー調整方法その2、その3もお試しください。

修理完了後、ダミーロードを使用して連続10分送信を行いました。
10分送信後、すぐバッテリーを外してアルミダイキャスト部を手で触ると熱くなっていますが触れる温度でした。
又、送信3分、受信5秒の繰り返しを4セット、合計12分連続送信でもアルミダイキャストは手で触れる温度でしたのでOKとしました。

同じ10分連続送信テストを手持ちの別のトランシーバー(シリコングリス塗布無し、購入時のまま)で行いましたが、アルミダイキャストは熱くなりますが手で触れる状態でした。

修理完了後、鳴き合わせでテスト交信を行い、送受信問題無いことを確認。オーナー様へ返却致しました。しばらく様子を見て頂きます。

今回の故障時の状況を聞いたところ、オプションのロッドANTを取り付けて送信中に電源シャットダウン → 電池切れと思い乾電池ケースを取り付けて送信 → 再びシャットダウン → 電源が二度と入らず。(外部SPマイクは使っていなかったそうです。)
SWRが高い状態で回り込みしてバッテリーの保護回路(過電流防止)が働きシャットダウンしたのかどうかは不明ですが、もし電源がシャットダウンした場合は乾電池ケースで電源を入れずにしばらくしてからバッテリーで電源ONして様子を見た方が良さそうです。

今回の修理後、取り外したFETを私のプロトタイプ初号機と比較してみたところモールド形状が異なることに気づきました。

写真左が私が最初に入手したプロトタイプ品、右が今回の修理依頼品(50台ロット)です。


すぐにメーカー(QYT社)へ問い合わせしたところ、QYT社からプロトタイプ品のFET→中間ロットFET→最新ロットFETと3種類あると回答が来ました。
少々驚きです!

更にプロトタイプと別に通常使用で使っている手持ちの同じ50台ロットの1台を開けてファイナルを確認してみました。左が今回の修理で外したFET、右は同じ50台ロットですがFETは別ロットのようです。モールドの真ん中にヘソがあり放熱フィンの切り欠きも綺麗です。

50台ロットの途中で最新ロットに変更されたのかもしれません。
初回評価ロットの20台は手元に無いため未確認、現在の150台ロットはQYT社によれば最新ロットのようですが取り寄せて確認予定です。
70台ほど頒布されて現時点でファイナル交換したのは今回が初めてになります。

2022.3.21追記
※今後ファイナル焼損交換する場合はネジ留め処置にてファイナルと変調器トランジスタのセットで行います。

ケース取り外し方法の一例
技術力のあるOM様向けになります。チップ部品やフレキシブル基板が採用されていますのでご注意下さい。(作業は自己責任でお願い致します。)

①ツマミ類を外します。
固いのでマイナスドライバーをツマミ下部の隙間に入れてテコの原理でツマミを上げます。
  ※ゆっくりとツマミを上げるのがコツです。
少し上げたら一番最下段の隙間に入れなおすとツマミを傷付きにくいです。

②ワッシャーネジをラジペンで外します。3箇所(BNC、エンコーダ、ボリューム)。
専用工具がある場合はお使い下さい。
 ※ネジ山を潰さないように注意して作業します。

③アルミヒートシンクの特殊ネジ2本を外します。レンチサイズはT9を使用します。
  スピーカーマイクのラバーキャップは開いておきます。


④操作側のゴム製OKボタンを押すとアルミダイキャスト部分が出てきます。
又はアルミヒートシンク下部とケースの隙間にマイナスドライバーを差し込み
そのままドライバーを傾けてアルミヒートシンクを引き上げます。
※OKボタンを押す方法が簡単で楽です。
※基板やケースを傷つけないように注意して作業します。



ボリューム、エンコーダーの軸をケースから抜くようにして斜め後ろ方向に引き上げます。
スピーカー線2本を切らないように注意して作業します。(ケース本体SPと基板にケーブル有り)

⑤BNCコネクタの芯線(スルーホール)の半田を吸い取ります。
 GND端子は半田を綺麗に吸い取るか、溶かしながらマイナスドライバーを端子の下に入れて持ち上げると外せます。
 ※半田こて作業はチップ部品やTFT液晶のフレキシブルを傷つけないように注意して作業します。

⑥基板をアルミヒートシンクに固定しているネジ8箇所を外すと基板がアルミヒートシンクから外せます。TFT液晶の樹脂アタッチメントは上方向(上部ツマミ側)にずらすと爪が基板から外れます。

元に戻す時は必ず逆の手順で行います。
基板とアルミヒートシンクのネジ留めをせずにケースに入れると
次に取り出し不可能となります。

(おわり)



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