2022年3月31日木曜日

QYT-28レポート5(その他)

1. スイッチの接触不良(ドームスイッチ)
スイッチの接触が良くない個体が入荷時の検品で1台見つかりました。ドームスイッチがズレていました。

ゆっくりとテープを剥がして張り直します。
2. PLLアンロック
29MHz台の特定周波数範囲でアンロック現象があり。初めての現象でしたが開腹してすぐに原因が判明。電源ラインに細い線?が別回路につながり電圧降下して高い周波数の方で発振が弱くなったようです。取り除いて安定しました。

3.FMモードだけ音が出ず(2022.4.7追記)
信号は入感してSメーターは振るのに音声が出ず。
基板をケースから取り出したところ、反り返り(左側)あることが判明。
ネジを緩めて反り返りを修正したところ、直りましました。しかしケースに入れてしばらくすると再発、FMモードに関連するどこかの部品が接触不良気味のようです。


2022年3月30日水曜日

QYT-28レポート4(パワー調整方法その2)

ファイナルFET交換後にパワー調整ボリュームにて最大パワー(4W)に調整しますがボリュームで調整しても4 Wにならないことがあります。
そんな時はパワー調整ボリューム近くのチップ抵抗(デフォルト150Ω)を調整して上げるとピークパワー値を上げることができます。(+0.5~0.8Wくらい)
私の場合、もともと付いている150Ωに重ねるように新しいチップ抵抗を半田つけして抵抗値を下げました。
1.パワー調整ボリューム(ピークパワーに合わせる)

2.チップ抵抗(パワー調整ボリュームで4Wに満たない時は抵抗値を下げる。)まずは47Ωを重ねて半田つけしてみる。

私のプロトタイプ機は既に47Ωが重ねて半田つけされて調整済みでした。


2022年3月20日日曜日

QYT-28レポート3(ファイナル温度測定)

 QYT-28ノーマル(購入時のまま)、シリコングリス塗布対策、ネジ留め対策のそれぞれの温度測定を行いました。

1.ネジ頭が基板に接触して基板が浮いて作業中断していましたが測定のため再度実施。

クリアランス4.0㎜に対して当初使用したパーツ合計高さが5.1㎜となってしまった為に中断していました。



信号パターンが近いため基板カットは不可


今回、スプリングワッシャを無くして平ワッシャ(カラーワッシャ)のみ、放熱シート0.3㎜→マイカ板(0.1㎜)に変更しました。この変更で合計3.9㎜、ギリギリ入るはずです。

シリコングリス塗布 → マイカ(0.1㎜ t)を載せる

FET(裏フランジ部分にシリコングリス塗布) →  平ワッシャを載せる

ポリカーボネートネジ

基板との接触回避

リードを出しろ1.0㎜~1.5㎜残してカット

ネジ留め後はGNDの濡れが更に悪くなります(熱引き効果)
でもネジ留めしてから半田付けした方がリード負荷が無い
(車載ではネジ留めしてから半田付け)

パワーを4Wに調整



2. 温度測定実施

熱電対を樹脂モールド部分にカプトンテープ(耐熱テープ)で貼り付け。

測定結果(協力:CRkits Japan)

ネジ留め式が 70℃
シリコングリス塗布式 80℃
ノーマル(隙間有り)105℃

※TOT(送信時間)3分間欠送信で連続5回(約15分送信)

肌で感じる測定:12分連続送信(間欠無し、送信しっぱなし)直後にバッテリーを外しアルミダイキャストに頬を当てた時にグリス塗布式は熱くて頬を当てられず、ネジ留め式は頬を当てられました。

結果: ネジ留め式 > シリコングリス塗布式 > そのまま


タップ開けの一例
1.ハンドドリルで穴開け(芯ブレ注意下さい)
  柔らかいアルミです。





2.タップ開け
ハンドタップ3本セットを使用
(20年前に使用してたものは摩耗していた為、新調しました)




ファイナルFETと変調トランジスター用の2ヶ所をタップ開けします。





2022年3月19日土曜日

QYT-28 レポート2(電源シャットダウン)

電源シャットダウン後、しばらくして電源が再び入りそのまま使用されていたものを点検を兼ねて送って頂きました。初回20台ロットの内の1台になります。



QYT社最新ロットと思われるFETが付いていました。

(お預かり時に出力4W確認済み)


左側が先日焼損したFET(中間ロット品と思われます)と今回お預かりしたトランシーバーのFET(最新ロット)右側。初回20台ロットから最新ロットになっていることがわかりました。


フランジ部分(裏側)


念のため取り外して新品FET(Mouser Japan購入品)と交換します。


FETのリードは細い部分(太い部分を残して)カットします。


新しいFETを半田付け


アルミダイキャスト側にシリコーングリス塗布

プレート、シリコンゴム側にシリコーングリス塗布


外したFETをトランジスタチェッカーで確認

QYT最新ロット版(QYT曰く)はゲート容量が大きく、Vtが低いことがわかりました。

(この個体だけなのか、電源シャットダウンによるものかは不明)


Mouser Japanで購入したFET


※中間ロット品については現物(動作品)が無いため特性は不明。

※150台ロットのFETは最新ロットを確認(全数は未確認です)


FET交換後、パワー測定すると2.5Wのためパワー調整VRにて4Wに調整。



連続12分(間欠無しの連続)にて異常が無いかを確認し動作OKとしました。

鳴き合わせテスト交信にて変調含め送受信も確認。


2022.3.21追記

上記シリコングリス塗布処置したトランシーバーの返却を中止。

オーナー様に許可を得てファイナルのネジ留め処置、AMモード時に変調器トランジスタにも結構負担が掛かるのでMJE2955Tもネジ留め処置することにしました。

半田付けしたFETを取り外してリードの長い新品を再度取り付けます。

そしてMJE2955T用タップ開け1ヶ所追加しました。


再度組み立て

パワー調整(4W)後、12分連続送信にて確認
ネジ留め放熱効果を確認して完了。

しばらく様子を見て頂くようお願いしました。















2022年3月12日土曜日

QYT-28修理レポート1(ファイナル交換編)

2023.2.3追記

最新バージョンQYT-28はメーカーでファイナルFETをネジ留めしています。


※当局の修理受付は終了しました。(2023.2.3更新)



CRkits Japanさんより修理品を預かりました。

送信中に電源が落ちてしまい、それ以降電源が入らなくなってしまったとのことです。

まずはケースから基板を取り出します。

(バラシ方法はページ最後を参照下さい。)



ファイナルFETが変色しています。焼損した?ようなので取り外して確認。



トランジスターチェッカーで確認してみました。

足が短いところなんとか挿入。


各端子間は抵抗器状態、ファイナルFET(FQP13N10)が飛んでいることがわかりました。

念のためドライバートランジスター2SC2314も外してチェックしました。
こちらは足が短いためリードを延長半田つけしました。

トランジスターチェッカーで確認すると2SC2314は生きています。


FETを交換、取り外した2SC2314も半田付けしました。

アルミダイキャストとシートの両方にサンドイッチするようにシリコングリスを塗布。

FET交換後、パワーが少し下がって3.5Wでしたのでメーカーに調整箇所を問い合わせしました。(下記写真を参照下さい)ボリューム、赤丸印のところを調整します。

※調整はクリティカルです、ほんのちょっとボリュームを回すだけでパワー変化しますのでご自分で調整される場合はご注意ください。


無事復活しました(約4W)

※2022.4.6追記
上記パワー調整ボリュームでMax.4Wにならない場合はパワー調整方法その2、その3もお試しください。

修理完了後、ダミーロードを使用して連続10分送信を行いました。
10分送信後、すぐバッテリーを外してアルミダイキャスト部を手で触ると熱くなっていますが触れる温度でした。
又、送信3分、受信5秒の繰り返しを4セット、合計12分連続送信でもアルミダイキャストは手で触れる温度でしたのでOKとしました。

同じ10分連続送信テストを手持ちの別のトランシーバー(シリコングリス塗布無し、購入時のまま)で行いましたが、アルミダイキャストは熱くなりますが手で触れる状態でした。

修理完了後、鳴き合わせでテスト交信を行い、送受信問題無いことを確認。オーナー様へ返却致しました。しばらく様子を見て頂きます。

今回の故障時の状況を聞いたところ、オプションのロッドANTを取り付けて送信中に電源シャットダウン → 電池切れと思い乾電池ケースを取り付けて送信 → 再びシャットダウン → 電源が二度と入らず。(外部SPマイクは使っていなかったそうです。)
SWRが高い状態で回り込みしてバッテリーの保護回路(過電流防止)が働きシャットダウンしたのかどうかは不明ですが、もし電源がシャットダウンした場合は乾電池ケースで電源を入れずにしばらくしてからバッテリーで電源ONして様子を見た方が良さそうです。

今回の修理後、取り外したFETを私のプロトタイプ初号機と比較してみたところモールド形状が異なることに気づきました。

写真左が私が最初に入手したプロトタイプ品、右が今回の修理依頼品(50台ロット)です。


すぐにメーカー(QYT社)へ問い合わせしたところ、QYT社からプロトタイプ品のFET→中間ロットFET→最新ロットFETと3種類あると回答が来ました。
少々驚きです!

更にプロトタイプと別に通常使用で使っている手持ちの同じ50台ロットの1台を開けてファイナルを確認してみました。左が今回の修理で外したFET、右は同じ50台ロットですがFETは別ロットのようです。モールドの真ん中にヘソがあり放熱フィンの切り欠きも綺麗です。

50台ロットの途中で最新ロットに変更されたのかもしれません。
初回評価ロットの20台は手元に無いため未確認、現在の150台ロットはQYT社によれば最新ロットのようですが取り寄せて確認予定です。
70台ほど頒布されて現時点でファイナル交換したのは今回が初めてになります。

2022.3.21追記
※今後ファイナル焼損交換する場合はネジ留め処置にてファイナルと変調器トランジスタのセットで行います。

ケース取り外し方法の一例
技術力のあるOM様向けになります。チップ部品やフレキシブル基板が採用されていますのでご注意下さい。(作業は自己責任でお願い致します。)

①ツマミ類を外します。
固いのでマイナスドライバーをツマミ下部の隙間に入れてテコの原理でツマミを上げます。
  ※ゆっくりとツマミを上げるのがコツです。
少し上げたら一番最下段の隙間に入れなおすとツマミを傷付きにくいです。

②ワッシャーネジをラジペンで外します。3箇所(BNC、エンコーダ、ボリューム)。
専用工具がある場合はお使い下さい。
 ※ネジ山を潰さないように注意して作業します。

③アルミヒートシンクの特殊ネジ2本を外します。レンチサイズはT9を使用します。
  スピーカーマイクのラバーキャップは開いておきます。


④操作側のゴム製OKボタンを押すとアルミダイキャスト部分が出てきます。
又はアルミヒートシンク下部とケースの隙間にマイナスドライバーを差し込み
そのままドライバーを傾けてアルミヒートシンクを引き上げます。
※OKボタンを押す方法が簡単で楽です。
※基板やケースを傷つけないように注意して作業します。



ボリューム、エンコーダーの軸をケースから抜くようにして斜め後ろ方向に引き上げます。
スピーカー線2本を切らないように注意して作業します。(ケース本体SPと基板にケーブル有り)

⑤BNCコネクタの芯線(スルーホール)の半田を吸い取ります。
 GND端子は半田を綺麗に吸い取るか、溶かしながらマイナスドライバーを端子の下に入れて持ち上げると外せます。
 ※半田こて作業はチップ部品やTFT液晶のフレキシブルを傷つけないように注意して作業します。

⑥基板をアルミヒートシンクに固定しているネジ8箇所を外すと基板がアルミヒートシンクから外せます。TFT液晶の樹脂アタッチメントは上方向(上部ツマミ側)にずらすと爪が基板から外れます。

元に戻す時は必ず逆の手順で行います。
基板とアルミヒートシンクのネジ留めをせずにケースに入れると
次に取り出し不可能となります。

(おわり)